50代のお悩み「テレビの音がうるさいと言われます」耳鼻咽喉科医がアドバイス【耳鳴り】を感じたらすべきこととは?
さまざまな不調があらわれる50代。健康に関する疑問に医師がアドバイスします。前回は「朝起きたときに手指がこわばる」という50代のお悩みについて、内科医に伺いました。今回のテーマは「耳鳴り」。耳鳴りは年のせい——と決めつけてはいませんか? 耳鼻咽喉科医の木村至信先生がアドバイスします。
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馬車道木村耳鼻咽喉科クリニック 院長
木村至信
きむら・しのぶ 医学博士、耳鼻咽喉科、頭頚部外科。専門は音声学・癌・難聴遺伝子。
信州大学病院に勤務後、難聴遺伝子、遺伝子解析研究のスペシャリストとして厚生省で研究に携わり、米国ネブラスカ州国立リサーチ病院に留学、研究を続ける。大学病院での高度医療、癌センターでのオペ研修など医療のトップレベルで15年以上勤務。横浜市大医学部にて医学博士を取得。現在、横浜市内のクリニックで地域密着の診療に励んでいる。近著に『1万人の耳の悩みを解決した医師が教える 耳鳴りと難聴のリセット法』(アスコム)。
一方、幸せな人生には耳の健康こそ不可欠だという考えのもと、国内外でボランティア医療に従事。医療コメンテーター、コラムニストとしても活躍。木村至信BANDのヴォーカルとしてもメジャーデビュー。シンガーソングライターとしても活動中。
きむら・しのぶ 医学博士、耳鼻咽喉科、頭頚部外科。専門は音声学・癌・難聴遺伝子。
信州大学病院に勤務後、難聴遺伝子、遺伝子解析研究のスペシャリストとして厚生省で研究に携わり、米国ネブラスカ州国立リサーチ病院に留学、研究を続ける。大学病院での高度医療、癌センターでのオペ研修など医療のトップレベルで15年以上勤務。横浜市大医学部にて医学博士を取得。現在、横浜市内のクリニックで地域密着の診療に励んでいる。近著に『1万人の耳の悩みを解決した医師が教える 耳鳴りと難聴のリセット法』(アスコム)。
一方、幸せな人生には耳の健康こそ不可欠だという考えのもと、国内外でボランティア医療に従事。医療コメンテーター、コラムニストとしても活躍。木村至信BANDのヴォーカルとしてもメジャーデビュー。シンガーソングライターとしても活動中。
Q
「いつも耳のそばでセミが鳴いているような、耳鳴りがします。また、テレビの音がうるさいとよく言われます。耳鳴りと難聴は関係しているのでしょうか」
A
耳鳴りの患者さんの約90%が難聴!
耳鳴りは、医学的には耳鳴症と言います。
周囲で音が鳴っていないにもかかわらず、「ジージー」「キーン」「ボーボー」などの音が聞こえるという症状が現れ、季節の変わり目に耳鳴りを訴える患者さんが増える傾向にあります。
耳鳴りには「自覚的耳鳴り」と「他覚的耳鳴り」の2タイプがあります。
「自覚的耳鳴り」は患者本人にしか聞こえません。一方、「他覚的耳鳴り」は筋肉のけいれんや血管病変の拍動など、実際に音が鳴っていることで症状を感じます。
数として多いのは自覚的耳鳴り。難聴と耳鳴りは密接に関係していて、耳鳴りの患者さんの約90%に難聴が認められます。
なぜ耳鳴りが起こるのか。原因についてはまだわかっていない点も多いでのすが、最近では、難聴に伴って、脳の異常な興奮が起こることが関係しているのではないかと考えられています。難聴により聞こえの情報が脳に伝わらなくなると、脳が音に対しての感度を上げようと働いて異常な興奮状態を起こす、それを耳鳴りとして感じるのです。
また心理的な要因も関係しています。耳鳴りを不安に思うと、耳鳴りに意識が集中し、さらに耳鳴りの音を大きく感じます。するとそれがまたストレスとなって不安感が強まり、ますます耳鳴りを強く意識する、という悪循環に陥るのです。
耳鳴り以外に、次のような症状が現れると病気の可能性も考えられます。
<耳鳴り>+<耳が遠くなる>
⇒突発性難聴、加齢性難聴、耳垢栓塞、耳管狭窄、耳硬化症、メニエール病、薬の副作用など
<耳鳴り>+<めまいがする>
⇒メニエール病、内耳や脳の血行障害、脳腫瘍、脳卒中や頭部外傷の後遺症など
<耳鳴り>+<自分の声が響く>
⇒耳管狭窄、中耳炎など
<耳鳴り>+<全身に不快感がある>
⇒自律神経失調症、更年期障害、ストレスなど
<耳鳴り>+<頭痛・肩こり・動悸>
⇒高血圧、低血圧、貧血など